新世代Roguelike「Dwarf Fortress」入門(1)

このblogを始めた時の大まかな見通しとしては、*bandについて書きたいことを一通りだらだらと書いた後で、Omega、ADOM、Dwarf Fortressを順に取り上げて、その中で「地上のマップ」、「クエストの多様性」、「ゲームの最終目的」、「新世代Roguelike」などの話題についてつらつら書いてゆくつもりだった。ただこの見通しは、最初のうちはリアルタイムの読者がまったくいない状態でのんびり書くことになる、という前提で立てたものだったので、ちょっと現状にはそぐわなくなっていると思う。この予定通り進めてしまうと、あまりに迂遠すぎるのだ。

というわけで途中を大幅に端折って、ここでいきなり新世代RoguelikeであるDwarf Fortressを取り上げることにしたい。正直なところ、Omegaは今是非プレイする価値があるゲームでもないと思うし、ADOMはまあプレイする価値はあると思う程度で私は*bandほどは好きではないのだが、このDwarf Fortressは、ローグライカーがまさに今プレイするに値するゲームだと思う。しかし日本では、まだこのゲームについて全然知らないという人も多いのではないだろうか。

現在広く遊ばれているPC系のRoguelikeゲームは、十数年やそれ以上の古い歴史を持つものが多いが、Dwarf Fortressは五年ほど前からスクッラチで開発が始まったゲームである。作者はTarn AdamsおよびZach Adamsの兄弟で、「半分素人のようなレベルの他人の相手をしていたのでは、開発が楽しくないから」という理由で、今までずっとソースコードを公開せずに開発をおこなって来ている。初めてアルファ版が公開されたのが昨年の夏で、それ以後もすさまじいハイペースで開発が続いているが、バージョン番号は今でも「v0.23.130.23a」すなわちアルファ版である。アルファ版とは言っても現状で十分に遊べる、というよりヤバいほど面白い。我々は、歴史に残る偉大なゲームの誕生に立ち会っているのかもしれない。

・公式サイト(ダウンロード可能)
http://www.bay12games.com/dwarves/

・Dwarf Fortress Wiki(攻略情報など)
http://dwarf.lendemaindeveille.com/index.php/Main_Page

Dwarf Fortressというゲームを一言で表現するならば、「ランダムに生成される途方もなく巨大で豊穣な世界を、ストラテジーゲームとRoguelike RPGの二つの面から楽しみ尽くすゲーム」だと言えると思う。
ゲームには以下の三つのモードがある。(ゲーム開始画面)

このうち三番目の冒険者モードがいわゆるRoguelikeRPGで、一番目と二番目のモードは、ドワーフの共同体を繁栄へと導くストラテジーゲームである。そう、このDwarf Fortressは単なるRoguelikeRPGではなく、それを丸ごと含んだもっと巨大で恐ろしく野心的なゲームなのだ。
どれほど野心的なゲームであるかについては、次の記事で。